「学級崩壊していると言えます」
小学校3年生の2学期学級懇談会の教室で
担任の先生が言った。そこで初めて子供のクラスが学級崩壊していると知った体験記。
学級崩壊=教室で何が起こっている?
子供の様子・保護者の対応の記録・その時に思ったことをまとめます。
学級崩壊とは?
学級崩壊(がっきゅうほうかい)とは、学級が集団教育の機能を果たせない状況が継続し、通常の手法では問題解決が図れない状態に陥った状況を指す。
Wikipedia学級崩壊
学級崩壊とは?
先生の言うことを聞かない・クラスの統制が取れず、授業にならない期間が1か月以上続く状態のこと
「学級崩壊」聞いたことはあった。反抗期と重なる高学年に多いのかと思っていた。しかし、ネットなどで調べると現在はどの学年でもあり得ること。加えて「学級崩壊をしているクラス」も珍しくはないよう。しかし、学級崩壊の理由は学年によって少しずつ違う。
小1・小2 | 45分授業に座っていられない 先生の話がきちんと聞けない |
小3・小4 | 暴言・暴力が目立つ ケンカが絶えない |
小5・小6 | 受験勉強・塾への不満やストレス 先生への敵対心 |
現在の小学校の情報は
「自分から取りに行かないと分からない」
コロナを経験し、元に戻りつつある今でも、私たちは以前のような距離感で人付き合いをしなくなった。小学校に保護者が出向く機会は以前より減り、保護者同志のつながりも昔より希薄なものになった。子供から聞く学校の様子がほとんどで子供の状態に問題がなければ小学校に問い合わせはしない。
それは認識の違いを生み出した。
まさか自分の子供のクラスが ”学級崩壊” しているとは思いもよらなかった。
学期ごとに開催される懇談会。保護者が唯一顔を突き合わせるのは、今はその時くらい。
授業参観後の12月の懇談会。3年生の教室はいつもより参加者が多かった。
始まって間もなくPTA役員をしているというお母さんが手を挙げ、発言した。
「お母さん方、いつもの子供達の教室の様子をご存じですか?」
少し緊張した面持ちで話し始める
PTA役員になったから、平日の午前中に学校へ行くことがあるのだそう。
役員の仕事を終え、のぞく子供の教室。
「我が子のクラスだけいつも落ち着きがなくうるさい」始めは「このクラスだけ休み時間?」と思ったと。
授業中とは信じられない様子だと言う。
「教室を立ち歩いている子供が3~4人。あらゆる子供ににちょっかいを出していて、授業になってない」
その様子に驚き、その日に帰宅した子供に聞いてみたところ、いつもの光景とのこと。
発言にうなずいている何人かのお母さん。私も自分の子供から多少は聞いていた。
だけど、少し呑気に構え過ぎていたようだ。話が終わり別の保護者が先生に尋ねた。
「このクラスは学級崩壊していますか?」
先生は一言
「今の状態は学級崩壊と言えると思います」と言った。
学級崩壊体験記 だんだんおかしくなる教室
今、考えれば兆しがあったのかもしれない。
春 新任の先生が担任の3年生クラス
先生は柔らかい雰囲気の優しい感じ。子供好きで教師になった。
大学を卒業したばかりの、よく言えば「初々しい」悪く言えば「頼りない」先生だった。
生徒と一緒に頑張ってくれればいい。先生になりたての経験の無さは「子供の目線に近い担任の先生」・「一緒に1年間走り続ける先生」そんな風に考えていた。
5月を過ぎた頃、子供が「先生が優しすぎて怒らない」と怒って帰ってきた。子供はそれが不満だった。6月頃から、子供から聞く先生の話に苛立ちが見てとれた。「みんな、先生があんまり怒らないのが分かっているし、怒っても怖くないから言うことを聞かない」
「友達が係をさぼっても怒られなかった」
少しずつ、ルーズになって行く子供達
「先生が気が付かないから、大丈夫」
そんなことの積み重ねで、クラスの統制がだんだんと取れなくなっていることを子供は肌で感じていた。
夏休み明け事態はどんどん悪い方向に
「教室を立ち歩く子供」が出て
「言うことを聞かない子供が増え」
「ケンカが絶えず、いつもその問題に先生が対処し」結果「授業がつぶれる」毎日。
手助けする別の先生が来て大声でクラスをなだめる。「脅かすように静止する」先生。
授業が中断するのが日常て担任の先生は問題に対処するだけで疲れている。
先生がトラブルの元になる子供を指導している間「他の子供達」は自習が主になる
当然、見てくれる教師がいないから自習の質も落ちる
トラブルの対処が最優先。先生が自分のことを「見ていない」と感じる他の子供達。
相次ぐトラブルの解決に先生が尽力しているのは、子供から聞いて分かった。
先生の目はクラス全員の子供を見れていないとも感じた。
自分の子供はなんとかやっていると思っていたので、小学校に問い合わせはしなかった。
今考えれば「クラスが落ち着いていないようですが、大丈夫ですか?」くらい聞いても良かった。
私にその時出来ることがあっただろうか?
今思えばこの頃
子供の夜の寝つきが悪く、寝言で叫んだり、泣きながら起きたりすることが多かった。
小さな兄弟げんかも重なった。
子供がトラブルに巻き込まれている訳ではないので、当然学校からの連絡はない。
しかし、子供は毎日の学校の喧騒にストレスを感じていただろうと思う。
運動会が終わり、行事が色々開催される間もも子供のクラスは落ち着きがなかった。
秋が過ぎ、12月の参観会と懇談会。
保護者同志が顔を合わせるのは、これが2回目。正直あまり保護者の顔も覚えていない。
クラスの様子を心配しているのは他の保護者も一緒だったと思う。
静かな授業の参観会
だけど、その日の「参観会」はいたって普通だった。立ち歩く子供もいないし、問題とされている「トラブルをよく起こす子供」も静かに座って授業をしている。「全然思っていたほどではないな」と考えながら子供達の授業を見ていた。
学級崩壊を知った保護者たち
懇談会の最初に驚き「学級崩壊」のお知らせ
「学級崩壊してます?」の質問も攻めていたが当事者のクラスでも「知らされないんだ」と驚いた。
知らされない⁉
「クラスが学級崩壊」と「子供の学校での様子」
「授業をしっかり聞かないのは問題行動ではない??」
自分の子供が「学級崩壊を引き起こしている・問題行動を起こしている」としても
先生は保護者に「お宅の子供が授業中に立ち歩いて困ります」とは電話をしないようだ。
我が子の小学校に限ってかもしれないが、それでは子供の様子が分からない。
保護者はきっと知りたいと思う。子供が学校でどんな様子かを。
きっと皆、自分の子供はしっかりやっていると思っている。
保護者会でも「当事者の親という認識がない」保護者が何人もいた。
「それは先に知らせておくべきじゃない?」と学校に対しても思ったが
小学校で子供の問題行動の中には知らされない内容もあるのだろうか?
保護者が知らないから「子供は好き勝手に学校で振舞っている」のではないだろうか?
結局、12月の今回の懇談会に参加しなかった保護者は3月のクラス終了まで「自分の子供の教室で起こっていたこと」を同じ温度では感じなかっただろう。活発な意見が交換されたが、解決策はでなかった。
しかし、子供から聞く普段の様子や不満が様々な保護者から次々に話された。
保護者から伝えられた子供達のSOS
クラスの様子が嫌でストレス・学校が楽しくない・行きたくない
立ち歩いている子供がほとんど男子
落ち着きのないクラスの一員として見られることも嫌だ
注意しても言うことを聞かないのに、無視するわけにもいかず
・授業がまともに受けられない
・先生が自分を見てくれない など様々、親に打ち明けていたよう。
男子は子供ぽくて、乱暴で幼い
そんな女子VS男子の構図もできていた
「学校は常に開かれているので、どんな時でも子供の様子を見に来て下さい」「新任の先生ですから育てる気持ちで保護者も助けを」緊迫した保護者会の様子を見に来た校長も話した。いつもの様子とは違い、参観会は静かに出来た子供達。結局 親の目も必要でそれがあれば教室も少し緊張気味に静かになる。保護者はいつでも子供の様子を見周りに来ることを許可された。
様々な反応を見せる保護者たち
保護者の心得!?
子供同志のトラブル・学校のトラブルで
一番驚くのは「保護者の反応が本当に様々」ということだ。子育てしていて「えーっ?そんな風に考えたことない」って思うことばかり。その度驚いたり、参考にしたり、それはないなって思ったり(笑)
子育てほどバラエティに富んでいるのはないかもしれない。
皆悩みながら、思い思いに子育てしている。
何を大事にしてる?子供に何を一番に思って教えてる?って本当に違う。
正解があったら聞きたいよ!って思ってるけれど、子供によってみんな違う。
自分が選んだ友達は「価値観が近い」自分が育った環境に似ていれば「想像がつく」けれど、子供が同級生の親同士は偶然同じタイミングで、そこで子供を育てているという共通点だけ。「全く違う経験をしてきた人」という認識がなければいけない。
こちらの常識は相手の非常識なんて経験は一度や二度じゃない
子供同志のトラブルも、もともと合わないからトラブルになる。トラブル相手の保護者と話したら「すごくいい人で、価値観があった」ということはまずない…と思う。(持論と経験たっぷり)しかし、こちらが全部正しくて、あっちが全部間違えている。ということもない。考え方が合わないから、うちとは違うからと排除はできない。
違いを認めながらなんとかやっていくしかない。互いに違いを意識し、経験すると「我が家は何を大切にする?」がだんだん明確になっていく。「うちはうち、よそはよそ」が完成されていく。
もしも、我が子に関係するトラブルが起きたら「自分の子供をどう守るか?」に注力するしかない。自分の子供はどう考えている?何をストレスに感じている?自分の子供を守り、安全に育てるには?が一番大切。
私はそんな風に考えている
予想もできたが、この「自分の子供のクラスが学級崩壊」は保護者の感度も随分違い、その後の反応もかなり違うものになった。これはほんの一例だが、保護者によってこれだけの反応があった。
・義務教育なのに子供が落ち着いて授業を受けられないのは問題=権利の侵害として「別のクラスを作り担任をもう一人立てろ」と教育委員会に申し立てた。
・以後、問題のある生徒と自分の子供が絶対に同じクラスにならないよう先生に直談判
・立ち歩く子供達は廊下に出せ
・立ち歩く子供達だけのクラスを作れ
・担任を2人にしろ
・校長が責任を取れ
学級崩壊をしている当事者の親
・子供の立ち歩きくらいでうるさい
・先生がしっかり押さえてくれなくちゃ
・子供の自主性に任せている
・うちの子供はマイペースなので
・男の子だからこのくらい普通
とかなりの温度差が感じられた
学級崩壊 対応策
3学期の小学校の対応策
・学校中の先生が見回りに来る
・怖い先生が代わる代わる来る
・保護者も見周りに来る
結果、3年生の教室はこうなった。
「先生を見て、状況を見て、立ち歩いたり大人しくしたりしていた」
大人によって態度を変える子供達
3年生にもなれば、どの先生の時には静かにしなければいけなくてどの先生の時に大丈夫かは簡単に判断できる。
保護者が教室に見に来ているときは静かにし、担任が一人でクラスを仕切る時は「学級崩壊は3学期まで続いた」
結果、一年続いた学級崩壊。担任の先生が一番の被害者だ。子供達は「先生がきちっと抑えることができない」のを知っていて「担任の先生の時には好き勝手にしていた」に過ぎない。だから怖い先生の時に、立ち歩く子供はいなかったし参観会では普通の顔をして授業を受けていた。
新任の先生にはキツイ経験だったろう。夢を持って初めての社会人に先生になって。きっとうまくやりたいと思っていただろうに。自分の子供が夢を抱いて先生になったのにこんな経験を一年目からさせられていたら…。先生も心配だったが、先生のお母さんまで心配になった。(完全に余計なお世話…。)
・最近の子供は生意気で卑怯だ
・大人の顔色をうかがって態度を変える
その親も学校にクレーム入れるモンペばかり…そんな風に思われてもしょうがない。
しかし、一方でこの経験は子供にとって「自分が集団の中でどう振舞うか?」「何か問題があった時にどう対処するか?」そんなことの練習だったとも思える。3年生には難しいかもしれないが、どんな友達が好きで、どんな友達が自分と合うか?とかはきっと考えるきっかけになったと思う。
実際に当事者の子供に対しては「ずっと悪い事ばかりしているわけではないけれど、喧嘩が多かったり、しっかりやらない時がある」と言っていた。だけど、私がその子供のことばかり責める訳にも行かないと思ったのは
「その子のことは好きでも嫌いでもない。いいところもあるし、悪いところもある。だけど、友達だから悪く言いたくない」と子供が言ったからだ。子供は子供なりにこのクラスの状況をよくないとは感じながらも当事者の子供達だけが悪なのではないと考えていたように思う。
しかし、荒れた教室へ毎日通わなければいけなかった子供のストレスを思う。その時「何かできる事はなかったか?」と考える。もっと学校へ様子をうかがえばよかった。何かと抗議する親は「自分の子供のことだけを考えて、希望を訴える・優先させる」というのも一方では納得できる。
学級崩壊の結果、3年生で習う漢字や勉強は、家で補足しないときちんと学習していないと感じた。1年学級崩壊があったクラスに所属するのと、通常のクラスで勉強するのは多分違う。明らかに学習面や、メンタル面に負担がかかっていたと思う。
社会に出てからも「合う人ばかりではない」色んな人がいて当たり前の世の中。人間関係で多少のストレスを感じながらも「どう乗り越えていく?」「自分はどんな人間関係を構築する?」「どんな人達が自分と合うと感じ、どんな状況が深いだと感じるか?」そんなことを考えるきっかけになる気がしている。親として出来ること、子供が体験すべきこと。その時に来る体験に親子でどうやって立ち向かっていくか?結局は毎回のように「来た波にどう対処するか?」それしかないのだけど。
誰かのヒントや参考になりますか?参考になると嬉しいです。